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GM1-ガングリオシドーシスとは?

β-ガラクトシドーシスはライソゾーム病の一つで、糖脂質の末端β-ガラクトース結合を加水分解するライソゾーム内の加水分解酵素、β-ガラクトシダーゼが欠損することにより発症する、常染色体劣性遺伝形式を示す遺伝病です。

脳をはじめとして全身臓器にGM1ガングリオシドなどの糖脂質、オリゴ糖、ムコ多糖(ケラタン硫酸)などが蓄積します。

進行中の中枢神経障害を主とするGM1ガングリオシドーシスと、中枢神経障害を伴わない全身骨系統疾患であるモルキオB病に分類されます。

GM1ガングリオシドーシスの発症頻度は1/10万~20万人とされます。

発症時期と臨床経過により、乳児型、若年型、成人型に分類されます。
日本では、R201C遺伝子変異をもつ若年型の患者とI51T遺伝子変異をもつ患者が比較的多いです。
モルキオB病の日本人の患者は見つかっておらず、世界的にも極めてまれです。

【乳児型】
生後3-6カ月までに発達の遅れがみられ、初期は筋緊張低下、音に対する過敏症を呈することもあります。腱反射が亢進し、全身性の痙攣が出現します。眼底のチェリーレッドスポット、肝脾腫、全身の骨異常が進行します。

【若年型】
1歳前後から発症し、臨床症状は乳児型に類似しますが、やや軽度です。肝脾腫やチェリーレッドスポット、骨異常はほとんどありません。

【成人型】
発達は正常で知能障害が少ないです。歩行障害、構音障害が初期症状として多く、ジストニアなどの錐体外路症状を呈します。

診断について、乳児型、若年型GM1ガングリオシドーシスに特異的な臨床症状はありません。成人型はジストニアなどの進行性の錐体外路症状と脊椎変形が主な症状となります。

確定診断は酵素診断により行われます。酵素診断は、末梢血リンパ球または皮膚線維芽細胞のβ-ガラクトシダーゼ活性を、人工基質を用いて測定します。

また、遺伝子診断も可能です。日本人患者では、若年型にR201C、成人型にI51Tが多くみられます。

治療については現在、対症療法以外には、中枢神経障害などに有効な治療法はありません。
骨髄移植も試みられていますが、有効性は認められていません。
現在、本疾患に対する画期的な治療法としてケミカルシャペロン療法(またはシャペロン療法)が日本で開発され、患者皮膚線維芽細胞およびモデルマウスに対する有効性が示されています。

GM2-ガングリオシドーシスとは?

β-ヘキソサミニダーゼAの欠損(テイ・サックス病)、β-ヘキソサミニダーゼAとB 両方の欠損(サンドホフ病)、GM2活性化蛋白の欠損(GM2ガングリオシド活性化蛋白質欠損症)により発症する、常染色体劣性遺伝形式を示す遺伝病です。

脳を中心としてGM2ガングリオシドという糖脂質が蓄積します。

発症頻度はテイ・サックス病、サンドホフ病が1/7万人とされ、GM2ガングリオシド活性化蛋白質欠損症は極めてまれです。

発症時期と臨床経過により、乳児型、若年型、成人型に分類されます。日本では、乳児型の患者さんの中にHEXA遺伝子のIVS5,-1変異が比較的多く見られます。

 

【乳児型】
生後6-7カ月までに発達の遅れがあり、初期は筋緊張の低下や音に対し過敏なこともあります。眼底の異常(チェリーレッドスポット)を認めます。肝脾腫や骨異常などはありません。

【若年型】
2-10歳頃に発症し、臨床症状は乳児型に似ていますが、症状がやや軽度です。

【成人型】
発達は正常で、20-30歳で発症します。歩行や喋り方の障害が最初の症状として多く、ジストニアなどの錐体外路の症状が出現します。

確定診断は酵素診断により行われます。酵素診断は、末梢血リンパ球または皮膚線維芽細胞のβ-ヘキソサミニダーゼA、Bの活性を人工基質を用いて測定します。

また、遺伝子診断も可能です。日本人患者では、乳児型にHEXA遺伝子のIVS5,-1変異が比較的多くみられます。

治療については現在、対症療法以外には、中枢神経障害などに有効な治療法はありません。

(鳥取大学 難波 栄二先生 監修)

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